みなさん、こんにちは! あずるです。
前回の記事では、2026年の舶用機関市場と「デジタルツイン」について解説しました。 (まだ読んでない方は、ぜひ[こちら]からどうぞ!)
要するに、「これからは船もハイテク化して、データを常時監視する時代になるよ(陸上が)」という話でしたね。
……正直なところ、こう思いませんでしたか?
「うわぁ、面倒くさそう……」
「俺は機械をバラして直すのが好きなんだよ! パソコン仕事なんて陸の人間に任せとけ!」
その気持ち、痛いほど分かります……(;´・ω・) 私も油の匂いがする現場が好きですし、スパナを握っている時の方が「仕事してる感」がありますから(笑)
でも、そんな時代だからこそ。 あえて私は提言したいのです。
「スパナの隣に、Excel(データ)という武器を持ちませんか?」と。
今回は、なぜこれからの機関士に「Excel・VBA」が役立つのか。 私の独断と偏見、そして少しの実体験を交えて語っていきたいと思います!
メーカー任せだけじゃない?「自分」で見るデータの重要性
「データ監視なんて、メーカーの高いシステムが入るんでしょ? それを見ればいいじゃん」
確かにその通りです。 MANの『MAN CEON』やWinGDの『WiDE』など、最新の監視システムは優秀でしょうし、画面も近未来的なんだろうなと想像します。
でも、現場にいるとこういうこと、ありませんか?
「メーカーの画面だと『正常』って出るけど、なんか最近、過給機の音が高い気がするんだよなぁ……。先月と比べてどう変化してるか、もっと細かいグラフで見たいんだけど」
そう、メーカーのシステムは「汎用的」なことしか教えてくれない場合が多いんです。 「痒い所に手が届かない」というか……。
そんな時、デジタルツインのシステムからは、大抵の場合「CSV形式(ただの数字の羅列)」で生データを吐き出すことができます。
これを自分たちの手で加工して、 「自分たちが本当に見たい、自船だけの傾向管理グラフ」を作る。
これができる機関士と、メーカーの画面を眺めているだけの機関士。 どちらが「船の状態」を深く理解できるか……答えは明白ですよね
最近あった「入渠を先に延ばしたい。もうひと夏超えられない?」
これは本当にあった私の話です。
うちの会社は大体2年に一度の入渠します。それだと中間検査や定期検査の5年に周期が合いませんよね。なので大体1年前倒しで受験します。ドックのたびに「中間検査」か「定期検査」のイメージです。
そこで荷主が
「ちょっとこの時期走らせたいから、入渠時期を冬前まで伸ばせない?検査期限はあと1年あるでしょ?(元は春入渠の予定)」
と船主側に話があり、船側に相談が来ました。(工務監督は伸ばすのは無理と認識していた)
そもそも、最近海水温度高いじゃないですか。ドック明けて2回目の夏はセントラルクーラーが悲鳴を上げている状況です。(バイパス弁全開でも間に合ってない…)
でも、荷主はその現状も知らないですし、セントラル清水温度が高くなると起こりえる不都合なんて知識もありません。
これを説明するための資料作りをする必要が出ました。
もう3回目の夏はどう考えても乗り越えられん
これが現場の総意だったからです。(工務監督含めて)
そこで私がしたことは「夏場の海水温度別セントラル清水温度分布の表」の作成です。
これを「ドック明け1回目の夏」と「ドック明け2回目の夏」を出せば「海水温度は同じなのにセントラル清水温度が上昇している」と客観的に示せるからです。
収集対象は、「M/E設定回転数」「海水温度」「セントラル清水温度」「機関室気温」の4項目。これをドック3回分とったので、
6シーズン分のデータを、機関日誌を見ながら、手打ちで、収集。。。
この時、

コンソール情報は全部CSVで定期出力してくれ…
って心から思いました。
だって、手作業で1週間ぐらいチマチマやったこの作業、VBA使えたら1時間も有れば終わっています。おまけに、手入力ミスが無いから手入力より正確です。
結果的には工務監督が、
「セントラルクーラー開放するから、その時間と港を確保してね」
船底塗料が2年仕様だから海洋生物の付着を抑えられん。ダイバー定期的に潜らせて掃除させるよ
あ、それらの費用はそっち持ちね。
という流れで、ドックの先延ばしは無くなりました。って結末です。ホントよかった。
なぜ「Excel・VBA」なのか?
「データ加工が必要なのは分かった。でも、なんでExcel? Pythonとか流行りの言語じゃないの?」
理由はシンプルです。 船の共用パソコンに、最初から入っているからです!
新しいソフトをインストールしようとすると、会社の許可取りだのライセンス料だの、面倒な手続きが山積みですよね。 でもExcelなら、事務室のPCにも、ECR(制御室)のPCにも、必ずと言っていいほど入っています。 追加コストゼロ。これ最強です。
そして、そこで役立つのが「VBA(マクロ)」です。
毎日毎日、ログブックの数字を手打ちで入力して、グラフにする……。 そんな単純作業、やってられませんよね? Σ(・□・;)
- ボタン一発で、CSVデータを読み込んで綺麗なグラフにする。
- 異常値があったら、セルを赤く光らせて教えてくれる。
VBAを使えば、こんなツールが作れてしまいます。 「仕事を楽にするために、ちょっと勉強する」 動機はこれで十分だと私は思います。(というか、私がそうです 笑)
プログラマーになる必要はない
「でも、プログラミングなんて難しそう……」
大丈夫です! 私たち機関士は、エンジニアであってプログラマーではありません。 バリバリのコードが書けるようになる必要なんてないんです。
- Excelの「マクロの記録」機能を使ってみる。
- ネット(やAI)に落ちているコードをコピペして、ちょっと書き換える。
これくらいのレベルで十分、現場の業務改善には役立ちます。
大事なのは、コードが書けることではなく、 「目の前の膨大なデータに対して、アレルギー反応を起こさないこと」。
これからのデジタルツイン時代、この「データ耐性」こそが、私たち機関士の身を守る最強の護身術(武器)になるんじゃないかな、と私は思っています。
まとめ:興味が出たら、まずは「自動化」から
- 船はハイテク化してブラックボックス化していく。
- だからこそ、自分でデータを扱えるスキル(Excel/VBA)が価値を持つ。
- 難しく考えず、「仕事をサボるためのツール作り」から始めてみよう!
……と、偉そうに語ってしまいましたが、私もまだまだ勉強中の身です。
「ちょっとExcel VBA、触ってみようかな?」 と思った奇特な(!)あなた。
このブログでは、「船員による、船員のためのVBA講座」も発信しています。 専門用語ナシで、今日から使える小ネタを紹介していく予定ですので、ぜひ覗いてみてくださいね!
▼「あずるのExcel・VBA研究所」はこちら [カテゴリー:VBA&Excel] (※ブログ内の該当カテゴリーへリンクします)
将来的に記事を執筆する予定で記事ネタもあるのですが、現在「大幅リニューアル中」でそこまで手が回っていません…。(2026/1/31現在)
【Excel&VBA】の充実は今しばらくお待ちください<(_ _)>

それでは、よき船員ライフを! ご安航を!



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